賃貸物件選びで重要な「防音性能」を徹底解説!

近年、在宅ワークの増加やライフスタイルの多様化に伴い、賃貸物件選びにおいて防音性能が重要な選択基準となってきました。今回の記事では、賃貸物件の防音性能について詳しく解説し、快適な住環境を実現するためのポイントをお伝えします。

建物の構造

賃貸物件の防音性能を左右する最も重要な要素は、建物の構造です。
今回は賃貸物件に多い木造、鉄骨造(S)、鉄筋コンクリート(RC)、鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)について解説します。

木造

木造

一般的には建物の構造の中で防音性能は低いとされています。
具体的には、木造アパートの壁の遮音性能は「D-35」程度であり、この数値は一般的な会話がかなり聞こえるレベルになります。
床の遮音性能は「L-35」とされており、こちらは生活音のほとんどが音漏れしてしまう事を示しています。
ただ、近年では木造アパートでも防音性を向上させるための新しい技術や材料が導入されています。例えば高い遮音性を持つ建材を使用することで、他の建築構造に近い防音性を実現することが可能になっています。特に、2000年以降に建てられた木造アパートは耐震性や防音性が向上しているため、実際に現地に内見してみることをおすすめします。

鉄骨造(S)

鉄骨造

鉄骨造(S)の防音性能は、他の建築構造と比較して中間的な位置づけになります。
具体的には、木造よりも防音性は高いものの、鉄筋コンクリート(RC)には劣ります。
鉄骨造の中でも軽量鉄骨造と重量鉄骨造があります。
・軽量鉄骨造:遮音等級は「L-65」で、生活音はほとんど聞こえる程度ですが、多少の音量は軽減されます。
・重量鉄骨造:遮音等級は「L-60」で、足音やドアの開閉音などが聞こえる程度です。
鉄骨造を用いた住宅の多くは、ハウスメーカー施工のもののため、防音対策として床材や断熱材、二重サッシを採用している建物も多いです。

鉄筋コンクリート(RC)

RC

鉄筋コンクリート造(RC)は、その構造特性から非常に高い防音性能を持っています。
遮音等級は「L-50」で、子どもの泣き声や走り回る音は聞こえるレベルです。
RC造はコンクリートと鉄筋を組み合わせた構造であり、これらの材料の高密度性が音の遮断能力を向上させます。
具体的には、RC造の建物は空気伝搬音(話し声や音楽など)や固体伝搬音(足音や家具の移動音など)を効果的に低減します。
また、RC造には「ラーメン構造」と「壁式構造」の2種類があります。
・壁式構造:壁が厚く、防音性能が高い傾向があります。
・ラーメン構造:柱と梁で支えられているため、壁が薄くなりがちで防音性能が劣る場合があります

鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)

SRC

鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC)の物件は防音性能が非常に高いとされています。
SRC造は、鉄骨の柱の周りに鉄筋を組み、その上からコンクリートを流し込む構造であり、この特性が防音性に寄与しています。SRC造の遮音等級は「L-40」とされており、これは日本建築学会が推奨する集合住宅の望ましい水準に該当します。この等級は、物の落下音がほとんど聞こえず、足音や走り回る音がかすかに聞こえる程度であることを示しています。
また、SRC造は耐震性や耐火性も備えています。その分、建築コストも高額なため、通常の賃貸物件ではほとんど採用されません。SRC造の建物を希望される方は分譲賃貸をご検討いただくことをおすすめします。

間取りや部屋の位置による効果

防音性能は、建物の構造だけでなく間取りや部屋の位置によっても大きく異なります。
音を気にされる方は以下のような特徴がある間取りや部屋の位置を選んでみましょう。

間取り

・隣室との境界に収納スペースがある。
音が直接ではなく、収納越しになるため、響きづらくなります。収納には物が入っていることも多いため、音を遮る効果があります。
・水回りで隣室と隔てられている
水回りが境界にあることで、リビングや寝室などの落ち着いた空間に音が響いてくる可能性を下げることができます。
ただ、水回りにいる場合は、隣室の音が聞こえる可能性はあります。
・居室同士が直接隣接していない
お部屋が隣接していない場合は、上下階の音のみになる分、音が聞こえにくくなります。

部屋の位置

・角部屋
隣室からの音が片方のみになるため、リスクを軽減できます。
・最上階
上の階からの音がないため、不安に感じやすい足音が聞こえなくなります。
・1階
下からの音がないため、ご自身の生活で迷惑をかけてしまうリスクを軽減できます。騒音トラブルを起こしたくない方は1階を好まれる方もいらっしゃいます。

窓の防音性能

騒音はマンションの中だけではなく、外部からの音もございます。

二重サッシ

・音の種類
主に空気を介して伝わる音(空気音)に対して効果的です。ただ、固体を介して伝わる音(固体音)には限界があります。例えば足音や隣室からの振動音。
・ガラスとサッシの種類
樹脂製サッシは防音性と断熱性が高く、複層ガラスや防音ガラスを使用することでさらに効果が向上します。特に、異なる厚さのガラスを組み合わせることで共鳴現象を抑え、遮音性能が向上します。
・気密性
気密性が高いほど効果的です。外窓と内窓間の空気層が広いほど遮音性が高まります。

賃貸物件の内見時はどうしても間取りや設備に目がいってしまいがちですが、意外と重要なのが窓です。
窓サッシが古い物件であれば、外からの音が入ってきやすく、風の抜ける音も聞こえてしまう物件も中にはございます。
ただ一般の方に違いを分かっていただくには実際に内見して体感してみましょう。

入居後の防音対策

防音の物件に出会えなかった場合や出会って住んでいる場合でも入居後にできる防音対策も行い、騒音トラブルのリスクを軽減しておくことがオススメです。ここでは入居後簡易的にできる対策をご紹介します。

大型家具を壁際に配置

隣室との壁際にくつろぎスペースを配置しても、騒音に悩まされてしまう可能性は高いです。その場合、大型家具を壁際に配置することで距離を保つことが可能になります。また、家具を置くことで音を遮断する役割にもなりますので、お部屋のレイアウトを考える際は参考にしてみてください。

防音パネルの設置

壁を覆うほどの大型家具を持ち合わせていない方ももちろんいらっしゃるかと思います。それでも気になるという方は防音パネルを設置してみましょう。お部屋のアクセントにもなるため、おすすめですよ。

厚手のカーテンを使用する

カーテンにも防音に強いものもございます。窓サッシが古いものだったり、大通りに近い物件であればぜひ検討してみましょう。

カーペットやラグを敷く

下階への対策としては、カーペットやラグを敷くだけでも効果的です。足音がしなくなったり、物を落としても音が響きづらくなります。

防音マットの設置

小さいお子様がいらっしゃる家庭はよくカーペットの下にこの防音マットも敷いているという話を聞いたことがあります。またデスクを置かれる方はデスクチェアの下に防音マットを敷くことで床を傷つけない効果もありますので、ぜひ検討してみてください。

スリッパの使用

裸足ではなくスリッパを履くだけでも防音対策になります。知らない人の足音は想像以上に不快に感じてしまいます。足音の軽減になるスリッパの使用も積極的に活用していきましょう。

賃貸物件選びのポイントまとめ

①建物構造の確認

RC造やSRC造が望ましいです。木造や鉄骨造の場合は、追加で防音対策を行いましょう。

②間取りと位置の確認

角部屋や最上階なのか確認しましょう。また隣室と接している部分がどこになるのか不動産会社の方に確認しておきましょう。

③窓の仕様を確認

二重サッシになっているのか、前面道路の交通量や近隣のお店もチェックしておきましょう。

④入居後にできる対策を考えよう

内見時にどんな対策が必要になるのか考えておきましょう。

快適な住環境を実現するためには、これらの要素を総合的に判断し、ご自身のライフスタイルに合った物件を選択することが重要です。また、入居後も継続的な防音対策を行うことで、より快適な居住空間を作り出すことができます。
最近は特に在宅ワークが当たり前になってきました。防音性能は生活の質に直結する重要な要素となっています。物件選びの際は、家賃や立地だけでなく、防音性能にも注意してお探ししてみましょう。

別記事にて「【賃貸】不動産の治安が良い場所の調べ方・見分け方」もご紹介しておりますので、ぜひ参考にしてみてください!